2024年度 事業報告
賛育会は中期3ヵ年計画「地域の課題にもっともっと寄り添える賛育会」の2年目となる2024年度も、知恵を育む・体力づくり・仲間づくりをテーマに、安全で質の高い医療・福祉サービスの提供、赤ちゃんのいのちを守るプロジェクトと新病院・新施設構想の推進、安定した法人経営、地域や他団体との連携、協働を柱として歩みを進めました。
災害、戦争、人口減少、貧困などにより社会が大きく変化する中で、賛育会憲章の実践に努める職員や関係者の努力と多くの方々のお支えによりまして諸事業・活動を実施できましたことに感謝し、次の通り、概況をご報告申し上げます。
年間聖句
「同じ思いとなり、同じ愛を抱き、心を合わせ、思いを一つにして、わたしの喜びを満たしてください。」
(新約聖書 フィリピの信徒への手紙 2章2節)
Ⅰ. 運営体制
1. 理事長交代
第1回理事会(6/7)で理事長の小堀洋志氏の辞任が承認され、第12代理事長に平野昭宏氏が選任されました。(任期:2024年7月1日~2025年6月定時評議員会の日まで)
- 理事長
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- 平野 昭宏
2. 評議員
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評議員選任・解任委員会(10/22)で評議員が選任されました。(任期:2024年11月16日~2025年6月定時評議員会の日まで)
- 評議員
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- 栄畑 潤
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第2回評議員会(11/16)で理事に選任されたため、退任となりました。
- 評議員
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- 塚本 文武
3. 理事
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賛育会病院院長の賀藤均氏が理事に就任しました。(任期:2024年4月1日~2025年6月定時評議員会の日まで)※2023年度第2回評議員会にて選任
- 理事
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- 賀藤 均
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第2回評議員会(11/16)で評議員の塚本文武氏が理事に選任されました。(任期2024年11月16日~2025年6月定時評議員会の日まで)
- 理事
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- 塚本 文武
Ⅱ. 2024年度経営方針の概況
1. 知恵を育む:安全で質の高いサービスを継続し、地域ニーズに対応できる職員を育成する。
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安全で質の高いサービスを提供する。
医療事業では、賛育会病院が安全・安心な医療を最優先にしてガバナンスを見直し、救急患者の積極的な受け入れや無痛分娩の開始、7階病棟再開、他病院や福祉施設との連携強化、診療科別プロジェクトチーム等でサービス向上に取り組み、目標の165名には届きませんでしたが、月平均入院患者数を150名(前年133名)に増加させました。健康管理クリニックも積極的な営業と環境整備により、人間ドックの利用者が前年比4%、一般健診が8%増加しました。賛育会クリニックは総合診療を中心にワクチン接種や訪問診療・訪問リハビリを継続しながら地域ニーズに応えています。
介護事業では、高齢者介護施設で一時的な感染症のまん延もありましたが、認知症ケア・持ち上げない介護・看取りケアを継続するとともに権利擁護・虐待防止に関する勉強会やチェックシステムを強化しました。集合での家族懇談会や保護者会、故人を偲ぶ会等を再開し、利用者、家族の声に応えました。各事業所・施設で生産性向上委員会を立ち上げ、見守りや入浴機器の導入をすすめ、業務改善をしています。保育園事業では、いのちを大切にするキリスト教保育を継続するとともに、新たに医療的ケア児を受け入れ、地域の要請に応えました。 -
出生児の遺棄・虐待等を防ぎ、幼いいのちを守る活動を強化するため、法人が一丸となって「赤ちゃんのいのちを守るプロジェクト」に取り組む。
行政や関係機関と協議を重ね、7月に妊娠SOS相談、2025年3月に内密出産とベビーバスケット(匿名での赤ちゃんの預け入れ)を開始しました。今後、運用する中で事業計画や規程、書式を見直しながら、職員や支援者、他病院や関係団体、機関への情報共有や訪問、広報、支援と寄付の呼びかけや協力関係の構築等を引き続き進めていきます。
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職員の確保と育成に努める。
2024年度新卒採用は24名(前年43名)でした。介護人材確保等の補助金を含めた職員の処遇改善は行っていきますが、中途採用者、派遣職員や非常勤職員、2025年度の新卒採用も応募が少なく、厳しい状況が続いています。2023年度から導入した、役割等級制度等の新人事制度の運用を深化させるとともに、人材育成体系に基づいて職種別・職階別研修と地域事業所や施設毎での感染予防・虐待防止・事故防止などの研修も集合とweb参加のハイブリッドで実施し、延8,346名(前年6,462名)の職員が法人内外の研修に参加して技術や能力向上に取り組みました。
また、留学生や実習生の受け入れを継続して将来の人材育成を行うとともに、医療と福祉施設間の人事異動による人材育成にも努めています。
2.体力づくり:新病院・新施設構想を進め、安定した法人運営を実現する。
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賛育会病院の新病院・新施設構想を計画・実行する。
地域住民、墨田区、職員等の声を取り入れて補助内容や建築コストなどを見直し、入札を経て2025年3月から旧吾妻立花中学校跡地に医療と福祉が連携した地域包括ケアシステムの新拠点作りの建築を開始しました。太平地区の築94年の西館は、その機能を新事務棟に移転した後、取壊しを開始しました。また、立花地区の新拠点完成後に太平二期工事として賛育会病院外来棟・入院棟全体の建て替えを検討する計画でしたが、現在の病院環境に対する強い危機感から、できるだけ早期に建て替える検討を開始しました。
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組織・運営体制を見直し、法令順守の徹底と経営の改善・安定化に努める。
理事会への月次決算報告に加え、都度の経営状況の報告を追加した他、法人経営委員と財務部による全施設への内部統制監査を実施するとともに、地方自治体による実地検査を受検し、評価や指導を受けながら、法令順守、経営の改善と安定化に取り組みました。法人経営委員会、施設長会で月次決算管理を徹底し、改善を継続した結果、医療事業の収支は予算未達成ではありましたが、前年比で大きく改善しました。
また、全事業所で施設の老朽化に伴う修繕と諸物価高騰に伴う経費が増加し、今年度の医療・介護報酬改定の中では対応しきれない支出も増加しましたが、感染症の影響を受けつつも特養の利用率が安定したことや、光熱水費を含めた諸物価高騰への補助金等により介護事業の収支が予算を上回り、法人全体で補正予算を上回る決算となりました。
3.仲間づくり:地域住民や団体と共感による協働の輪を広げる。
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地域に仕える活動を継続する。
施設毎に地域のお祭りやイベント、防災・消防訓練等への参加、市区町村や医療機関・福祉施設・学校・金融機関等での医療や福祉に関する講座や相談活動、地域のボランティアとともに、高齢者の居場所づくりやサロン等の地域支援活動を再開しました。
東京都中央区の委託事業となる「晴海おとしより相談センター」を4月に開設しました。また、町田事業所の第二清風園居宅介護支援事業所かわせみを第二清風園居宅介護支援事業所に統合して町田市での在宅支援を継続しました。
能登半島地震被災者支援報告会を実施し、長野県災害福祉広域支援ネットワーク協議会や東京都看護協会、YMCAの方々とともに災害時の被災者支援の方法等について学びを深めました。また、墨田区との連携事業である外国籍の介護従事者のための日本語教室、実習生受け入れと留学生支援も継続しています。 -
地域支援活動や奉仕活動をしている仲間と連携し、協働する。
地域の医師会や施設長会、職種別会議、地域連携会議、教会牧師との連携の会等で医療や福祉の情報を共有し、連携を強化しました。また、清風園が開設60周年を迎え、地域の皆さまやボランティアに感謝するとともに、これからの支援もお願いしました。
学校、企業の求めに応じてそれぞれの地域や施設に職員が出向き、認知症サポーター養成講座や福祉講座、いのちの授業などを実施しています。 -
ボランティアや寄付等の支援活動の拡大に努める。
法人や各施設のホームページや広報誌で、賛育会のサービス、地域支援・ボランティア活動やチャリティーコンサート情報の発信を継続しました。
賛育会後援会と協力して、賛育会病院建て替えのためのチャリティーコンサートを実施し、地域の皆さまや企業にも賛育会への支援・寄付を呼びかけています。また、地域や学校・企業からのボランティア受け入れを継続しています。くわえて、広報委員会、国際活動委員会、ファンドレイジング実行チームで賛育会の広報や価値発信、支援や寄付を呼びかけました。
以上